戦争犠牲者は、敵の兵器によるものだけではない。この戦争
に全く関係ない、一般の善良な人々も多くいるのです。
　先の大戦でも、量り知れない程の一般人が、敵の兵器のみな
らず、味方の手により犠牲にされた人々もたくさんおります。
　特に、国策により、半強制的に送られた満州開拓の人達には、
通常考えられない悲惨な出来事が、数多く発生しております。
　軍に見捨てられて、逃避行中、子供を背負い、疲れ果てて、
「兵隊さんもう歩けない。殺してくれ。」と哀願する母親、もう
亡くなった子供を背負って、夢遊病者の如くふらつきながら歩
く母親、もう耐える力なくなり、我が子を大河の濁流の中へ放
りなげる母親、等々。この現実、どうして聞き流すことができ
るでしょうか。この思い、二度と起してはならないとして、反
戦につなげたいものです。　　　　　　　　（著者）栗田義一